公開日 2012/08/04 100分
『別離』を観た時には、イランであれ日本であれ、個人や家族の抱える苦悩は同じなんだなと思ったものだ。
しかし本作は真逆の苦難を示す。この国内で、今の時代とは思えないほどの現実。
国内でありながら知らなかった他国との関わり。
70年代の帰国事業で北朝鮮に渡った息子＝兄に脳腫瘍が見つかり、治療が可能な日本への一時帰国の顛末が描かれる。
信じた理想に裏切られた父親。それでも祖国を信じるしかないという母親。
結局、それらの犠牲となる子供たち。
祖国によって引き裂かれる家族を描いた作品は数多くあるが、本作は、今の日本でも起こっている現実として突きつける。
ただ、数年以上前に時代設定にされているのは、対外的な思惑が絡んでいるのだろうか。
物語の中の、急遽の帰国指示は、工作員への勧誘を軒並み断った所以か。
そう思わざるを得ない構成に感じられる。
このようなショッキングな社会的問題提起から目を背けても、物語の密度は濃い。
25年振りの再会としても変わらずに接する家族の描写は、離れていても心が繋がっていたことを切ないまでも映している。
自分自身を諦めてしまった主人公がくちづさむ「白いブランコ」、兄が夢見たスーツケースを引く妹の、決意じみた姿に胸を締め付けられる。
原題 かぞくのくに
製作国 日本
製作 スターサンズ STARSANDS CO.,Ltd.
配給 スターサンズ STARSANDS CO.,Ltd.
監督 ヤン・ヨンヒ Yang Yonghi
製作 佐藤順子 Satoh Junko
製作 越川道夫 Koshikawa Michio
ｴｸﾞｾﾞｸﾃｨﾌﾞﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ 河村光庸 Kawamura Mitsunobu
脚本 ヤン・ヨンヒ Yang Yonghi
撮影 戸田義久 Toda Yoshihisa
美術 丸尾知行 Maruo Tomoyuki
編集 菊井貴繁 Kikui Takashige
音楽 岩代太郎 Iwashiro Tarou
出演 安藤サクラ Andou Sakura
出演 井浦新 Iura Arata
出演 ヤン・イクチュン Yang Ik-Joon
出演 京野ことみ Kyouno Kotomi
出演 大森立嗣 Ohmori Tatsushi
出演 村上淳 Murakami Jun
出演 省吾 Syogo
出演 諏訪太朗 Suwa Taro
出演 宮崎美子 Miyazaki Yoshiko
出演 津嘉山正種 Tsukayama Masane