
公開日 2013/12/13 131分
★★★★★★ 6.0
ジェフリー・ラッシュが主演って、どーよ。
大ヒットするわけないので大作は無理。
当然、脚本重視の作品はこの監督の真骨頂なので、それなりに興味は沸く。
鑑賞前から「ラストは大どんでん返し」という情報は得ていた。
そもそもこの監督はミステリーっぽい展開が好みなんだと思う。
だが、言われるほどの大どんでん返しではない。
それよりも、この物語をどう捉えるかが、人によって大きく分かれてしまう、見る角度によって輝きの異なる宝石のような、そんな手際の上手さに感嘆する。
主人公は、あまりにも尊大な態度を見せる。所謂「いけすかないヤツ」である。
それは芸術作品に対して超一流の審美眼を持つという才能の所以でもあるのだが。
その一方、女性の顔さえ直視できない「ウブなヤツ」でもある。
このあまりにも極端な二面性が、隠し部屋の存在に現実味を持たせている。
この男の顛末をどう捉えたらよいのだろう。
悲劇か喜劇か因果応報の物語か。
我を忘れる程の恋に落ち、「待つ」ことを知った主人公は、人生の幸福を得たとも言えるが、やり直すには厳しい年齢でもある。
失ったものもあまりに大きい。
広場恐怖症という彼女の物語は、恋愛恐怖症の主人公ともダブる。
プラハの喫茶店は恐怖症の克服と新たな人生を示しながら、自身の時間のなさも示している。
この大きなものを得ると共に失うものの大きさが、この作品の魅力だ。
記憶力抜群の謎の女性の存在など、妙にミステリアスな部分も印象的。
小品ながらも、いろいろと考えさせられつつ答えは一つではないというヨーロッパ映画らしい作品でもある。
原題 THE BEST OFFER
製作国 イタリア
製作 Paco Cinematografica
配給 ギャガ
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore
製作 イザベラ・コクッツァ Isabella Cocuzza
製作 アルトゥーロ・パーリャ Arturo Paglia
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore
撮影 ファビオ・ザマリオン Fabio Zamarion
プロダクションデザイン マウリツィオ・サバティーニ Maurizio Sabatini
衣装デザイン マウリツィオ・ミレノッティ Maurizio Millenotti
編集 マッシモ・クアッリア Massimo Quaglia
音楽 エンニオ・モリコーネ Ennio Morricone
出演 ジェフリー・ラッシュ Geoffrey Rush
出演 シルヴィア・フークス Sylvia Hoeks
出演 ジム・スタージェス Jim Sturgess
出演 ドナルド・サザーランド Donald Sutherland
出演 フィリップ・ジャクソン Philip Jackson
出演 ダーモット・クロウリー Dermot Crowley