
公開日 2010/02/27 96分
2013年の我が家のホームシアター部門の1位『スリーデイズ』のオリジナルにあたる作品。
『スリーデイズ』はまるで、クライム・サスペンスのお手本のような完成度の高い作品だった。
世の中のリメイク作品は、オリジナルの方が面白いというのが通例だ。
オリジナルが面白いからリメイクされる訳で、多くの場合は「偉大なオリジナルの前に霞んでしまった」と叩かれる。
だが、本作はリメイク版の方が面白い少数派だ。
『スリーデイズ』がいかにオリジナルの欠点を修正し、内容を膨らませたかがよく解る。
脱出計画を壁に直接書くのと、貼り付けていく違い。
逃走車の使い方はお国柄の違いで、アメリカでは長距離を便乗するということは馴染みがないのかもしれない。
脱出計画の失敗や、家族写真を撮るエピソードなど、リメイクで効果的に付加された部分も目立つ。
どちらかを観るなら『スリーデイズ』がお薦めになるが、本作も決して悪くはない。
緻密にコンパクトにまとめあげられた作品で十分に楽しめる。
ただ、殺人犯さえ意図しないところで、冤罪がいとも簡単に造り上げられる現実と、それに対して市民がいかに無力であるかを描いて、作家としての正義感が滲んでいるのはリメイク版だ。
リメイク版はハッピーエンドのように描きつつ、真実が永遠に闇に葬られてしまうことを印象づけて終わる。
この社会性が私の好みでもある。
原題 POUR ELLE
製作国 フランス
製作 Fidelite Films
配給 ブロードメディア・スタジオ
監督 フレッド・カヴァイエ Fred Cavay
製作 オリヴィエ・デルボス Olivier Delbosc
製作 エリック・ジュエルマン Eric Jehelmann
製作 マルク・ミソニエ Marc Missonnier
製作総指揮 クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル Christine De Jekel
原案 ギョーム・ルマン Guillaume Lemans
脚本 フレッド・カヴァイエ Fred Cavay
脚本 ギョーム・ルマン Guillaume Lemans
撮影 アラン・デュプランティエ Alain Duplantier
美術 フィリップ・シーフル Philippe Chiffre
編集 バンジャマン・ヴェイユ Benjamin Weill
音楽 クラウス・バデルト Klaus Badelt
出演 ヴァンサン・ランドン Vincent Lindon
出演 ダイアン・クルーガー Diane Kruger
出演 ランスロ・ロッシュ Lancelot Roch
出演 オリヴィエ・マルシャル Olivier Marchal
出演 ムーサ・マースクリ Moussa Maaskri