ファニーゲーム U.S.A.

店舗イメージ

公開日 2008/12/20  111分


★★★★★ 5.0


映画は虚構である。たとえドキュメンタリーであっても、映像であることに変わりはない。
観客はそれを承知で観ているのだが、物語の途中で、スクリーンから「これは虚構ですよ」と敢えて示されたら、気分的にどうだろう。
私には興醒めでしかなかった。
それ以降に起こる事象は、暴力も恐怖もすべて演じられているという目で見てしまう。
この表現は作家にとって禁じ手ではないか。
本作だけではなく、これ以降の作品についても、どんなシリアスであっても「作り物」と解されてしまう。
この映画の虚構を示す表現については、ラース・フォン・トリアーの舞台劇のような演出を連想させられた。
観客を不機嫌にさせる内容で繋がったのかもしれないが。
とはいえ、『ドッグヴィル』のように見た目にも作り物の中から筋を運ぶのとは、まったく異なったアプローチといえる。
残虐シーンは少なく、死体も明確には映らない。
その辺りで気分を悪くさせるのではなく、犯人の無神経さや厚かましさで気分を悪くさせられる。
残虐シーンを受け付けない人があるように、このイライラを募らせる演出を受け付けない観客もあるだろう。
観客が楽しめる演出ではないのだ。

不愉快なものを苦労して作る製作側と、不愉快なものを敢えて観る客に需要と供給が成り立つこと自体Funnyかも。
『暴力がいかに不愉快なものなのかを描きたかった』という監督の意図は、優等生過ぎて額面通りには受け取れないし、映画の中でストーカー犯罪が普通になった今では、強烈なインパクトは与えられない。
公開時は斬新だったのだろうか。
オリジナルはカット割まで同じと聞くが観ていない。
今をときめくミヒャエル・ハネケの変人ぶりを窺わせる出世作だ。

原題  FUNNY GAMES U.S.

製作国 アメリカ
製作国 イギリス
製作国 フランス
製作国 オーストリア
製作国 ドイツ
製作 Celluloid Dreams
製作 Halcyon Pictures
製作 Tartan Films
配給 東京テアトル

監督 ミヒャエル・ハネケ Michael Haneke
製作 ヘンガメ・パナヒ Hengameh Panahi
製作 クリスティアン・バウテ Christian Baute
製作 アンドロ・スタインボーン Andro Steinborn
製作 クリス・コーエン Chris Coen
製作 ハミッシュ・マカルパイン Hamish McAlpine
製作総指揮 ナオミ・ワッツ Naomi Watts
製作総指揮 フィリップ・エイグル Philippe Aigle
製作総指揮 キャロル・シラー Carole Siller
製作総指揮 ダグラス・スタイナー Douglas Steiner
脚本 ミヒャエル・ハネケ Michael Haneke
プロダクションデザイン ケヴィン・トンプソン Kevin Thompson
衣装デザイン デヴィッド・C・ロビンソン David C. Robinson
編集 モニカ・ヴィッリ Monika Willi

出演 ナオミ・ワッツ Naomi Watts
出演 ティム・ロス Tim Roth
出演 マイケル・ピット Michael Pitt
出演 ブラディ・コーベット Brady Corbet
出演 デヴォン・ギアハート Devon Gearhart