
公開日 1975/03/21 111分
娯楽映画の表現のジレンマ。
面白く観られたというのが結論だが、苦言を呈するところがいくつもある。
そこがこの作品を「知られざる佳作」「その筋では評判」などと形容される所以なのかもしれない。
最たる場面は、主人公が爆弾のリード線を切断するクライマックスだ。
このシーン、切る前に『俺は何色の線を切るぞ』と仲間に言わなければならない筈だ。
でなければ、もしも爆発した場合に、残された仲間には他の爆弾のどちらを切ればいいのか分からない。
とはいうものの、色を宣言してから切ったのでは、観客にはその時点で分かってしまい、視覚で訴えることができなくなる。
緊張感が弱まり、面白みが半減してしまう。
作り手は、当然気づいていただろうが、このジレンマから抜け出す手立ては見つからなかったのだろう。
ボーイが爆発に巻き込まれるのも、マヌケな設定と言わざるを得ない。
封鎖時には警備を立たせておくのが常識だろう。
このような不自然さに目をつぶることができない人にはウケないだろう。
その一方で、爆弾処理の緊張感には目を見張るものがあり、処理のメカニカルで論理的な展開が、一転して心理的な展開に変わる構成も鮮やかである。
犯人側が爆弾を設置した意図や方法などの描写をスパッと削り、敢えて犯人と処理班を対向させずに、爆弾対処理班の構図にしたのもよかった。
リチャード・ハリスはまさにハマり役の独壇場。
一度は処理を諦めてしまうのも、当時らしいおおらかさがあっていい。
逆に、アンソニー・ホプキンスなどはあまり効いていない。
今となっては陳腐化してしまった部分は当然あるものの、まだまだ十分に楽しめる作品だ。
ちなみに「ノート」はNoteではなく、NAUT(海上の)。
原題 JUGGERNAUT
製作国 イギリス
製作 リチャード・レスター・フィルム
配給 ユナイト映画
監督 リチャード・レスター Richard Lester
製作 リチャード・アラン・シモンズ Richard Alan Simmons
製作総指揮 デヴィッド・V・ピッカー David V. Picker
撮影 ジェリー・フィッシャー Gerry Fisher
美術 テレンス・マーシュ Terence Marsh
編集 トニー・ギブス Tony Gibbs
音楽 ケン・ソーン Ken Thorne
出演 リチャード・ハリス Richard Harris
出演 オマー・シャリフ Omar Sharif
出演 シャーリー・ナイト Shirley Knight
出演 アンソニー・ホプキンス Anthony Hopkins
出演 イアン・ホルム Ian Holm
出演 デヴィッド・ヘミングス David Hemmings
出演 クリフトン・ジェームズ Clifton James
出演 フレディ・ジョーンズ Freddie Jones
出演 ロシャン・セス Roshan Seth