
公開日 2011/09/23 118分
アイコンタクトがクドい。物語の中で幾度となく描かれる目配せ。
その視線を送った側、次に送られた側の表情が映し出されるのだ。一瞬の目配せに、これではテンポが悪すぎる。
視線を送った側のみ、または双方を1フレームに収めるなどができなかったものか。
それはともかく、オリジナルのコミックも、TV版も知らないが、面白おかしくは観られた。
まさしく“今”を表現したITツールも、恋愛事情も興味深い。
その一方で、10年以上も前の音楽、「格好悪いふられ方」とか、「失格」とか、メジャーからやや外れた曲が懐かしくもあり、楽しくもあり、効いている。
公開前の宣伝では、冴えない男に、4人の美女から同時にモテる「モテキ」がやって来るという話のように思えるのだが、そうではない。
特に真木よう子は出番の多さに反して、最後まで主人公との恋愛に至らない。
いつになったら恋愛に絡むのかと待っただけ損な気分だ。
だがそれよりも何よりも本作の目玉は長澤まさみだろう。
評判は聞いていたが、これほどまでに演技と演出が見事に噛み合って、魅力的に見える例はそうそうない。
単に可愛いだけじゃなく、一癖二癖あるところがいい。
彼女の代表作に挙げられるだろう。
森山未來のキャスティングもツボを押さえていて、真面目過ぎず、オチャラケ過ぎず、『ヤリたい』という台詞が下品にいやらしく響かないキャラなのがいい。
麻生久美子の印象とは違う意外に不器用な感じもいいし、仲里依紗もほとんど物語に絡まないとはいえ、いい感じだ。
これらキャストのアンサンブルがハマったのが成功の要因だろう。
恋に落ちる要素はひとそれぞれで、誰もがフッたり、フラれたりしながら成長していくのだ。
ラストはハッピーエンドとは思えない。
好きとかフィーリングは大事な要素だが、それだけでも成り立たないのが、また恋愛なのだ。
その辺りは、恋敵やリリー・フランキーが巧く表現している。
男子の恋物語、しかも高揚感をダンスで表すなど、(500日)のサマーを彷彿させたりもする。
感傷も挫折も引っくるめて、恋っていいよなぁと再認識させられた作品。
原題 モテキ
製作国 日本
製作 東宝
配給 東宝
監督 大根仁 Ohne Hitoshi
製作 井澤昌平 Izawa Syohei
製作 市川南 Ichikawa Nimani
製作 鈴木一巳 Suzuki Kazumi
製作 岡部紳二 Okabe Shinji
製作 露木友規枝 Tsuyuki Yukie
製作 市山竜次 Ichiyama Ryuji
製作総指揮 山内章弘 Yamauchi Akihiro
製作総指揮 塚田泰浩 Tsukada Yasuhiro
製作総指揮 中尾哲郎 Nakao Tetsuro
原作 久保ミツロウ Kubo Mitsurou
脚本 大根仁 Ohne Hitoshi
撮影 宮本亘 Miyamoto Wataru
美術 佐々木尚 Sasaki Takashi
衣装デザイン ウィリアム・アイヴィ・ロング William Ivey Long
編集 石田雄介 Ishida Yusuke
音楽 岩崎太整 Iwasaki Taisei
出演 森山未來 Moriyama Mirai
出演 長澤まさみ Nagasawa Masami
出演 麻生久美子 Aso Kumiko
出演 仲里依紗 Naka Riisa
出演 真木よう子 Maiki Youko
出演 新井浩文 Arai Hirofumi
出演 金子ノブアキ Kaneko Nobuaki
出演 リリー・フランキー Lily Franky
出演 ピエール瀧 Pierre Taki