ブラインドネス

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公開日 2008/11/22  121分


★★★★★ 5.0


原因不明の伝染性の失明が世界を覆うという特異なストーリー。
感染初期の発病者を隔離する病棟が舞台の大半を占める。
隔離病棟に舞台を絞ったのは、暗黒の世界を描写する制作費の問題もあったのだろう。

伝染の果てに監視する者さえ居なくなるという結末に至るが、突然視力を失った人間のとる「行動」が作品の主題と言ってもいい。
はたして見えない絶望と恐怖、救いのない孤独に対して、人間はこのような行動をとるのだろうか…。
この作品の批判の多くはここにあると思う。
作品は、すべての人間が同じ苦境に陥った時に見せる姿、性善・性悪といった人間本来の性質を突きつける。
環境による違い、つまり生まれつき見えない者との違いが本作のみの世界観という説明も描かれるが、暗澹たる気分にさせられるのは間違いない。

教会のシーンがあるように、物語はキリスト教で言われる「暗黒の3日間」をベースにしているのかもしれない。
3日3晩地上は完全な暗黒で覆われ、空気は害毒で満たされ、すべての人類の遺産は焼く尽くされ、信仰心が試されるという。
それらは神の浄化の作業で、生き残った者は幸福に導かれるということらしい。
だが唯一アクセントとなる伝染を免れた主人公の行動が不可解である。
神とさえ思える彼女はすべての者に対して生死を含めてどのようにでも扱うことができるのに、暴力による支配に対して、なぜ敢えて耐え続けるのか、その根拠が見つからず、最後の最後にようやく爆発するものの、観ている方には相当ストレスが溜まる。
希望を含んだラストではあるが、これで人間の魂は浄化されるのだろうか。

原題  BLINDNESS

製作国 日本
製作国 ブラジル
製作国 カナダ
配給 ギャガ

監督 フェルナンド・メイレレス Fernando Meirelles
製作 ニヴ・フィッチマン Niv Fichman
製作 アルドレア・バラタ・ヒベイロ Andrea Barata Ribeiro
製作 酒井園子 Sakai Sonoko
製作総指揮 ゲイル・イーガン Gail Egan
製作総指揮 サイモン・チャニング=ウィリアムズ Simon Channing-Williams
原作 ジョゼ・サラマーゴ Jose Saramago
脚本 ドン・マッケラー Don McKellar
撮影 セザール・シャローン Cesar Charlone
プロダクションデザイン トゥレ・ペヤク Tul Peak
衣装デザイン レネー・エイプリル Renee April
編集 ダニエル・レゼンデ Daniel Rezende
音楽 マルコ・アントニオ・ギマランイス Marco Antnio Guimares

出演 ジュリアン・ムーア  Julianne Moore
出演 マーク・ラファロ Mark Ruffalo
出演 アリシー・ブラガ Alice Braga
出演 伊勢谷友介 Iseya Yusuke
出演 木村佳乃 Kimura Yoshino
出演 ダニー・グローヴァー Danny Glover
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル Gael Garcia Bernal