未来世紀ブラジル

店舗イメージ

公開日 1986/10/10  143分


★★★★★★ 6.0


テリー・ギリアムの名を世に知らしめた作品であり、これまででその個性が最も色濃く映し出された作品。
情報による管理社会を強烈に風刺し、人間性の崩壊や暴力性の増大を、ブラックなユーモアたっぷりに皮肉っている。
特筆すべきはその映像表現による展開で、それはここでしかあり得ない、ユニークなものである。
人工翼での飛行、檻の中の美女、鎧武者のイメージ。
地面から突出してくる土の塊(ビルや上司の顔)のど迫力。
母親達の美容整形のエグさ、現代の仕事をデフォルメした情報省、情報剥奪局。
意味不明な構造の拷問部屋はセットじゃないらしい。
(火力発電所の内部とか)
しかも、この発電所の外観が多数俯瞰されるということは、拷問部屋は無数にあるってこと。
拷問官のお面は、私には「おかめ」のデフォルメに見えたが…。
いきなりのメッセンジャーの歌など細部まで、執拗に凝りに凝られている。
ロバート・デニーロ演じる闇の修理やテロリストなど、暗に国家公認の犯罪者達とそれに不感症な国民。
刺激の強すぎる映像と絶えず流れる魅惑の「ブラジル」のBGMは、頭に焼きついてしまうほどだ。

そしてこの作家は、この国(ブラジル)を、未来と謳わず今世紀のある国と言っている。
つまりどこの国でもあり得ると言っているのだ。
虫一匹に左右されてしまうシステム社会などなど、分明に対するアンチテーゼだね。
面白さは保証できないが、映画の表現として一見の価値アリ。

原題  BRAZIL

製作国 イギリス
製作国 アメリカ
製作・配給 FOX

監督 テリー・ギリアム Terry Gilliam
製作 アーノン・ミルチャン Arnon Milchan
脚本 テリー・ギリアム Terry Gilliam
脚本 トム・ストッパード Tom Stoppard
脚本 チャールズ・マッケオン Charles McKeown
撮影 ロジャー・プラット Roger Pratt
編集 ジュリアン・ドイル Julian Doyle
音楽 マイケル・ケイメン Michael Kamen

出演 ジョナサン・プライス Jonathan Pryce
出演 キム・グライスト Kim Greist
出演 ロバート・デ・ニーロ Robert DeNiro
出演 イアン・ホルム Ian Holm
出演 キャサリン・ヘルモンド Katherine Helmond
出演 ボブ・ホスキンス Bob Hoskins
出演 マイケル・パリン Michael Palin
出演 ピーター・ヴォーン Peter Vaughan