フィアレス

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公開日 1994/06/25  122分


★★★★★★ 6.0


飛行機墜落事故から九死に一生を得たものの、その後、恐怖を感じられなくなった男の行動を描く。
映画の幕明け、墜落事故後の映像が凄い。
スケールとかでなく、映像のテクニックでここまで見せる手腕は、さすが名手ピーター・ウィアーと唸らせる。
赤ん坊を抱いてトウモロコシ畑を歩くジェフ・ブリッジスは、まさに神の申し子か。
恐怖心のみならず、苺(禁断の果実)アレルギーをも克服した彼は不死身というよりも神の領域に踏み込んでしまった感じだ。

そんな彼の抱える心の「穴」が幾つもの絵画で描かれる。
これらの絵は『ドア・イン・ザ・フロア』でも紹介されたようにジェフ・ブリッジス自身の作なのであろうか。
ピーター・ウィアーらしく、この作品のエンディングも素晴らしい。
作中ずっと語られなかった墜落直前の機内の様子が初めて明かされ、彼の行い、それゆえに神に近づいた理由が明らかになる。
そして、やがて人間(らしさ)に戻っていく姿が感動的だ。

だが、惜しむらくは本作もやはりピーター・ウィアーらしく、中だるみが隠せない。
車で事故るシーンなどの刺激的アクセントはあるものの、生存者のPTSDに苦しむ姿が深く暗く続き、やるせなさはこの上ない。
眠くなる人もあるだろう。
主人公が自分の恐怖心を試すシーンにもっと刺激が欲しかった。
オープニングとエンディングが突出したこの作品の起伏が、好みの分かれるところだと思う。
多分、昔なら私の好みにハマっただろう。

原題  FEARLESS

製作国 アメリカ
製作・配給 Warner Bros. Entertainment, Inc.

監督 ピーター・ウィアー Peter Weir
製作 ポーラ・ワインスタイン Paula Weinstein
製作 マーク・ローゼンバーグ Mark Rosenberg
脚本 ラファエル・イグレシアス Rafael Yglesias
撮影 アレン・ダヴィオー Allen Daviau
音楽 モーリス・ジャール Maurice Jarre

出演 ジェフ・ブリッジス Jeff Bridges
出演 イザベラ・ロッセリーニ Isabella Rossellini
出演 ロージー・ペレス Rosie Perez
出演 トム・ハルス Tom Hulce
出演 ジョン・タートゥーロ John Turturro
出演 ベニチオ・デル・トロ Benicio Del Toro