水の中のナイフ

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公開日 1965/06/01  94分


★★★★★ 5.0


ポランスキーのポーランド時代の作品。
登場人物は3人。舞台は殆どヨットの上。
限られた人物設定、舞台設定はポランスキーの得意とするところであり、本作でも思いの通じなくなった夫婦、かみ合わない若者のとやり取りで突き進む不安感が次第に煽られ、恐怖というほどの激情ではない深層心理の恐さを窺わせ、目が離せない心理劇となっている。
そしてその脚本に引けを取らないのが映像の美しさ。
オープニングからフロントガラスの反射で見えない搭乗者の二人の絵。
不安をよそに突っ走るヨットの疾走感。
ヴイから見たヨットの距離感。
葦に中に佇むヨットの絵など、素晴らしい映像表現は、それらに相応しいモノクロ画像をもってして、まさにポランスキーの独壇場と思える。

妻の言葉による葛藤、行き詰まり感。
信じれば、若者は助かったと思えるが、浮気を信じることになる。
信じなければ若者が助かったと思えない、微妙なジレンマ。
夫婦の倦怠、金持ちと貧困、老いと若さ、欲望、エロス、それぞれの対立の中で行き来するナイフ。
ポランスキー作品としては傑作とはいえないまでも、まずまずの心理サスペンス。

原題  NOZ W WODZIE

製作国 ポーランド
製作・配給 東和

監督 ロマン・ポランスキー Roman Polanski
脚本 ロマン・ポランスキー Roman Polanski
脚本 イエジー・スコリモフスキー Jerzy Skolimowski
脚本 ヤクブ・ゴールドベルク Jakub Goldberg
撮影 イエジー・リップマン Jerzy Lipman
音楽 クリシトフ・コメダ Christopher (Krzystof) Komeda

出演 レオン・ニェムチック Leon Niemczyk
出演 ヨランタ・ウメッカ Jolanta Umecka
出演 ジグムント・マラノウッツ Zygmunt Malanowicz