
公開日 2002/07/27 119分
黒沢明が企画していたものの実現しなかった本作。
黒澤版『海は見ていた』は存在しないのだから、本作は本作のみで評価されなければならない。
しかし、黒澤が作ったならば・・・という「虚像」と比較される運命を背負ってしまった作品。辛い辛い。
とはいうものの、これはいただけない作品だ。
シナリオ自体は黒澤好みのヒューマニズムの色合いが強い内容で、遊郭が舞台でありながら、五社英雄などの色恋の情艶を突きつめたものではない。(このあたりは『赤ひげ』を彷彿させるが)
物語は前半の吉岡秀隆に纏わるエピソードと後半の永瀬正敏に纏わるエピソードに大きく分かれる二本立て構成。
ストーリーや表現しようとすることは伝わるのだが、クライマックスの嵐の描写のマズさに代表されるように、切迫感や迫力に大きく欠ける。
海というより、川が決壊したような感じだ。
資金的にか、オープニングのCGによる遊郭の位置描写があるだけで、すぐそこに海があり、ラストにはその海に飲み込まれる「近さ」、「切迫感」の感覚がない。
当初イメージされていたという宮沢りえとの比較も辛いが、遠野凪子は上手いというより頑張っているといったレベル。清水美砂も同様。
遊郭らしい色艶が薄いキャストと描写がマイナスに働いたことは否めない。
期待と失望の両方を存分に味わえる作品。
原題 THE SEA WATCHES
製作国 日本
製作 「海は見ていた」製作委員会
製作 日活
製作 ソニーピクチャーズエンターテインメント
製作 テレビ東京
配給 ソニーピクチャーズエンターテインメント
配給 日活
監督 熊井啓 Kumai Kei
製作 猿川直人 Sarukawa Naoto
製作 黒澤久雄 Kurosawa Hisao
製作総指揮 中村雅哉 Nakamura Masaya
原作 山本周五郎 Yamamoto Syuugorou
脚本 黒澤明 Kurosawa Akira
撮影 奥原一男 Okuhara Kazuo
美術 木村威夫 Kimura Takeo
衣装デザイン 黒澤和子 Kurosawa Kazuko
編集 井上治 Inoue Osamu
音楽 松村禎三 Matsumura Teizou
出演 清水美沙 Shimizu Misa
出演 遠野なぎこ Tohno Nagiko
出演 永瀬正敏 Nagase Masatoshi
出演 吉岡秀隆 Yoshioka Hidetaka
出演 つみきみほ Tsumiki Miho
出演 河合美智子 Kawai Michiko
出演 北村有起哉 Kitamura Yukiya
出演 奥田瑛二 Okuda Eiji
出演 野川由美子 Nogawa Yumiko
出演 石橋蓮司 Ishibashi Renji
出演 奥田瑛二 Okuda Eiji