公開日 2025/5/16 123分
★★★★★★ 6.0
第一次世界大戦後のコペンハーゲンが舞台。
貧困に喘ぎ、デンマーク史上最悪と呼ばれる連続殺人事件に関わらざるをえなかった女性の物語がモノクロの画面で描かれる。
荒廃が進んだ当時の社会を映すリアルな映像が見事。同時にポイントで響く音響、効果音も見事。
この若い監督の手腕(技術)の高さを窺わせる。
ホラーを窺わせるタイトル通り、主人公は所謂お針子に該当するのだろう。夫が出征し家賃滞納から住む場所がなくなる。
工場のオーナーに見初められ運気が向くと思った途端、案の定身重のまま捨てられる。
貧富や男女の格差が広がり過ぎた荒んだ社会で、転がり落ちた主人公にはなすすべもない。
そんな主人公を拾ったのが天使と悪魔を宿す女性だ。砂糖菓子店を構えるだけの裕福さは実はない。
歪んた性格も次第に明らかになっていく。
ただこの彼女が社会に紛れ込んでいても不思議ではないと思わせる社会が怖い。現に彼女への依頼は絶えず、後の裁判で「正しいことをした、褒められてもいいくらい」と述べる姿に偽りはまったくない。
「社会が生んだモンスター」という言葉があるが、彼女もまた違う時代であれば平凡に暮らせるほど、異常者ではなかったのかもしれない。
ラストに、ずっとおかしな印象をみせていた娘と、主人公に小さな希望の光をあてる。
まあ、これがなければ陰惨な物語だ。怖い話であることには変わりないけど。
モデルとなったダグマー・オーヴァーバイは少なくとも9人の乳児の殺害で告発され、最大で25件の殺人容疑がかけられた。
死刑判決が言い渡されたが、後に終身刑に減刑され46歳で精神病院で獄中死したらしい。
ただ100年前のこの時代、日本でも多くの同様の事件が発生している。
Wikiで検索すれば出るわ出るわなので、デンマークに限ったことではないのだろう。
まだ100前?もう100年前?
今よりも遥かに命が軽かった時代。遠い昔話とも思えない。
原題 PIGEN MED NALEN
製作国 デンマーク
製作国 ポーランド
製作国 スウェーデン
製作 Nordisk Film
製作 Lava Films
配給 トランスフォーマー
監督 マグヌス・フォン・ホーン Magnus von Horn
脚本 マグヌス・フォン・ホーン Magnus von Horn
撮影 ミハウ・ディメク Michal Dymek
衣装デザイン マウゴジャータ・フダラ Malgorzata Fudala
編集 アグニェシュカ・グリンスカ Agnieszka Glinska
音楽 フレゼレケ・ホフマイア Frederikke Hoffmeier
出演 ヴィクトリア・カルメン・ゾンネ Victoria "Vic" Carmen Sonne
出演 トリーネ・ディアホルム Trine Dyrholm
出演 ベシーア・セシーリ Besir Zeciri
出演 ヨアキム・フェルストロプ Joachim Fjelstrup