
公開日 2024/10/4 109分
★★★★★★★ 7.0
トランプ支持者による連邦議会襲撃事件の記憶も新しく、大統領選も目前の中、「社会の分断」の極地を描いたまさに旬な作品。
ただ、"ウォー”というタイトルではあるが、物語には戦闘シーンは少なく、内戦の真っ只中、記者の大統領府へのロードムービーである。
私には、テキサスとカリフォルニアの同盟というのはピンと来ないが、やはり深く練られた構成なのだろう。
プレスといえども、内戦中の最中の道中は危険度が計り知れない。
ヤバい匂いは、命の危険と格好の取材ネタの表裏だからだ。
強力な銃を持った若者達はことごとく単純で他者へのリスペクトがない。
進まない銃規制の果てがこれかとさえ勘繰ってしまう。
急遽起用が決まったというキルステン・ダンストの実夫(ジェシー・プレモンス)演じる赤いサングラスの男の恐いこと、恐いこと。
極右なのか狂人なのか、有色人種?アメリカ人か?どの種類のアメリカ人だ?と、民族浄化主義の権化は、リアルな大統領の一面を強烈にデフォルメしている。
凄絶な内戦は政治の転換よりも、個人を描くことに比重が置かれている。
伝説のジャーナリストを演じるキルステン・ダンストは当初からそのカリスマ性を見せるが、ラストに向かって急速に失われていく。
それと引き換えのように逞しくなっていく新米ジャーナリスト。
世界を見渡しても、20世紀までに埋もれた遺物と思われていた戦争が、実はそうではなかったと誰もが思い知らされている。
本作はそういった不安を抱える人々を呼び込むことに成功したヒット作。政治的な思想よりも、分断の至る先を上手く描いた衝撃作としての価値は高いと思う。
その昔、『合衆国最後の日』という映画があった。
国家(アメリカ)を守るためなら大統領の命さえ差し出すラストに驚いたものだが、あの頃から、時代は真逆に動いたなという感慨もある。
原題 CIVIL WAR
製作国 アメリカ
製作国 イギリス
製作 A24
製作 DNA Films
製作 IPR.VC
配給 ハピネットファントム・スタジオ
監督 アレックス・ガーランド Alex Garland
製作 アンドリュー・マクドナルド Andrew Macdonald
製作 アロン・ライヒ Allon Reich
製作 グレゴリー・グッドマン Gregory Goodman
脚本 アレックス・ガーランド Alex Garland
撮影 ロブ・ハーディ Rob Hardy
衣装デザイン メーガン・カスパーリク Meghan Kasperlik
編集 ジェイク・ロバーツ Jake Roberts
音楽 ベン・ソーリズブリー Ben Salisbury
音楽 ジェフ・バーロウ Geoff Barrow
出演 キルステン・ダンスト Kirsten Dunst
出演 ワグネル・モウラ Wagner Moura
出演 ケイリー・スピーニー Cailee Spaeny
出演 スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン Stephen McKinley Henderson
出演 ソノヤ・ミズノ Sonoya Mizuno
出演 ニック・オファーマン Nick Offerman
出演 ジェシー・プレモンス Jesse Plemons