関心領域

店舗イメージ

公開日 2024/5/24  105分


★★★★★★★ 7.0


年齢を重ねるにつれて戦争映画を見るのが辛くなっている。
アウシュビッツ収容所の外側でリッチな暮らしをする収容所長と家族たちの暮らしが描かれる。
まさに最大限のインパクトが狙われているが、事実がベースなだけに、これは厳しい厳しい映画だ。

主人公たちは塀の向こう側の惨状を知らないわけではなく、その音や映画では感じられない臭いの中、無関心でいるのだ。
彼らのユダヤ人に対する優越感は無関心を装うための武器である。
無関心が悪との見方もできるが、この日常の中でリアルにイメージしていたら精神が持たないのも確かだろう。

妻は現場を知らない上に所謂意識高い系の上昇志向。当然そこに群がる周囲の人間も同じ系。
無関心が板についているというよりも、生まれつきとさえ思える怖さだ。
ただ、主人公の母親にはその場に耐えられない呵責が微かにあるのだろう。

リンゴを撒く少女のみがモノクロで『シンドラーのリスト』を思い出した。

作品はアウシュビッツ時代で収束するわけではなく、ラストは一気に現代に飛ぶ。
積み上げられた靴。何も語らないが、無関心でいられますか、と。
現代はどうですか、と。

「好奇心こそやる気の源泉」とはいうけれど、無関心も生きていく源泉になり得るのか。

原題  THE ZONE OF INTEREST 

製作国 アメリカ
製作国 イギリス
製作国 ポーランド
製作 A24
製作 Access Entertainment
製作 Film4
配給 ハピネットファントム・スタジオ

監督 ジョナサン・グレイザー Jonathan Glazer
製作 ジェームズ・ウィルソン James Wilson
製作 エヴァ・ピアスコフスカ Ewa Piaskowska
製作総指揮 レノ・アントニアデス Reno Antoniades
製作総指揮 レン・ブラヴァトニック Len Blavatnik
脚本 ジョナサン・グレイザー Jonathan Glazer
撮影 ウカシュ・ジャル Lukasz Zal
美術 クリス・オッディ Chris Oddy
プロダクションデザイン クリス・オッディ Chris Oddy
衣装デザイン マウゴザータ・カルピウク Malgorzata Karpiuk
編集 ポール・ワッツ Paul Watts
音楽 ミカ・レヴィ Mica Levi

出演 クリスティアン・フリーデル Christian Friedel
出演 サンドラ・ヒューラー Sandra Huller
出演 ラルフ・ハーフォース Ralph Herforth