
公開日 2017/05/13 108分
★★★★★★ 6.0
都会での若者の孤独、疎外感はありふれた題材だ。
若気ならではの、死に絡む嫌な予感は昔のATG系の映画さえも彷彿させる。
主人公の都会への呪詛にも近い感覚も解らないではないが、とはいえ地方への郷愁も画面からは感じられない。
要は居場所がないのだ。
彼らの暮らし振りには、格差社会・外国人労働者・孤独死・震災の後遺症・オリンピック後の不安などといった現代のキーワードに溢れている。
そして本作を決定づけるのが主人公2人のキャラクターだ。
特に池松壮亮演じる慎二は、イタくもあり、病的でもあり、かつ片目が殆ど見えないというキャラクターを持つ。
都会で生き難い典型かもしれないが、そんなハンディキャッパー的人格は、洋画では時に主要登場人物に据えられるのだが、邦画ではほぼない。
邦画を貶める気はないが、今はそれほどに洋画との懐の深さに差があると思う。
話し始めたら止まらない、しかも堅苦しい単語を羅列する慎二はうざいったらありゃしない。
だが、松田龍平、田中哲司、ポール・マグサリンのチームは優しい。
作為的なほど絶妙に脆いメンバーだ。
未来は明るくないし、嫌な予感はきっと当たる。
事故や爆発、自死も起こるだろう。
2人の別れもあるだろう。
それだからこそ、普通じゃない2人が、朝には「おはよう」と言い、食事前には「いただきます」と言おうと。
奇跡的な出会いを経て、成長というよりも、そんな2人の成長、変遷が滲みる。
原題 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
製作国 日本
製作 テレビ東京
製作 東京テアトル
製作 ポニーキャニオン
製作 朝日新聞社
製作 リトルモア
配給 東京テアトル
配給 リトルモア
監督 石井裕也 Ishii Yuya
製作 孫家邦 Son Kahou
製作 菊地美世志 Kikuchi Miyoshi
製作 土井智生 Tsuchii Tomoo
製作 五箇公貴 Goka Kimitaka
原作 最果タヒ Saihate Tahi
脚本 石井裕也 Ishii Yuya
撮影 鎌苅洋一 Kamakari Yoichi
美術 渡辺大智 Watanabe Daichi
衣装デザイン 立花文乃 Tachibana Ayano
編集 普嶋信一 Fushima Shinichi
音楽 渡邊崇 Watanabe Takashi
エンディング曲 The Mirraz The Mirraz
アニメーション 松丸翔 Matsumaru Sho
出演 石橋静河 Ishibashi Shizuka
出演 池松壮亮 Ikematsu Sosuke
出演 佐藤玲 Sato Ryo
出演 三浦貴大 Miura Takahiro
出演 ポール・マグサリン Paul Magsalin
出演 野嵜好美 Nozaki Yoshimi
出演 市川実日子 Ichikawa Mikako
出演 松田龍平 Matsuda Ryuhei
出演 田中哲司 Tanaka Tetsushi