雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

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公開日 2017/02/18  101分


★★★★★★ 6.0


ジャン=マルク・ヴァレ監督による『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』に続く作品は、やはり、派手さはまったくないものの、じっくり堪能できる作品だ。

ただ本作は、最悪の邦題、最悪の字幕、と呼ばれる作品でもある。
主人公が車のサンバイザーを降ろすと、亡き妻の書いたと思われるメモが落ちる。
そこに書かれているのが、この邦題だ。
ピンとくる観客がどれほどいるだろう。気を揉むほどに解り辛い。

書かれているのは「If it's rainy, You won't see me, If it's sunny, You'll Think of me.」らしい。「サンバイザーに挟まれたメモは雨の日には見えない、でも晴れた日に見る時には私のことを想ってほしい」、軽い言葉のようで、主人公が漸く「愛がなかったわけじゃない。おろそかにしていたんだ。」という吐露に至る言葉でもある。

主人公の行動の軌跡は無理なく共感を呼ぶ。
それは妻の両親、ヒロインとその息子についても同様だ。
悲しみの共有は周囲に人間を結束させることが多いのだが、本作でのそれぞれの想いはぶつかる。
ただ、それらは真っ当であり、登場人物の想いは丹念に描かれる。この監督の手腕は確かだ。
ただ私的には、自販機のM&M'Sが出てこないという出逢いのエピソーは、どうもしっくりこない。

主演の二人はお墨付きの演技力で、細やかな心の機微の表現も上手く、クリス・クーパーらの助演陣も確かだ。

原題の『DEMOLITION』(破壊)が予感させる通り、再生の物語。
ラスト。どうしようもない悲劇を経た主人公が、少年から案内された先に取り戻す笑顔が印象的だ。

原題  DEMOLITION

製作国 アメリカ
製作 Black Label Media
製作 Mr. Mudd
製作 Right of Way Films
製作 Sidney Kimmel Entertainment
配給 ファントム・フィルム

監督 ジャン=マルク・ヴァレ Jean-Marc Vallee
脚本 ブライアン・サイプ Bryan Sipe
撮影 イヴ・ベランジェ Yves Belanger
プロダクションデザイン ジョン・ペイノ John Paino
衣装デザイン リア・カッツネルソン Leah Katznelson
編集 ジェイ・M・グレン Jay M. Glen
音楽監修 スーザン・ジェイコブス Susan Jacobs

出演 ジェイク・ギレンホール Jake Gyllenhaal
出演 ナオミ・ワッツ Naomi Watts
出演 クリス・クーパー Chris Cooper
出演 ジュダ・ルイス Judah Lewis
出演 C・J・ウィルソン C.J. Wilson
出演 ポリー・ドレイパー Polly Draper
出演 デブラ・モンク Debra Monk