
公開日 2016/09/17 110分
エル・クランとはスペイン語で"一族"をさす。
犯罪を生業とする一家の主と、それを忌み嫌いながらも次第に犯罪に染まっていく展開、親子の軋轢の構図は、アルゼンチン版『ゴッド・ファーザー』を彷彿させる。
エル・クランは独裁政権時代の中枢に近いポジションにいた男が、ファシズム崩壊後に暴力的な手下と「過去と同様に」生き延びていくための組織だ。
アルゼンチンの独自の歴史の中ではあるが、
民主主義の浸透とともに時代に取り残される姿も『ゴッド・ファーザー』に近い。
だが、この一族の主とその妻は犯罪を犯罪と認識していないのが、『ゴッド・ファーザー』とは大きく異なる。
息子たちを自分に奉仕するための道具としかみておらず、犯罪に加担させていく主。
昔はこのような親を表現する単語がなかったのだが、今で言う典型的な"毒親"だ。
旧組織に切られ、時代に適応できない歴史的な悲哀は描かれるものの、犯罪を自分の所業とさえ認めていない夫は明らかにその意識が欠落している異常者である。
またそれを解っていながら協力し、子供たちまで加担させる妻は更に恐ろしくも思える。
それらに苦しんだ息子はラストに驚きの行動に出るが、CGを思わせない衝撃の映像だ。
テンポよく明るい音楽を背景に犯罪が行われていくのは南米のノリ。
犯罪者一家を精神的に掘り下げた作品ではなく、アルゼンチン特有の歴史を背景にして生まれた犯罪一族の内情を描いた作品。
原題 EL CLAN
製作国 アルゼンチン
製作 El Deseo
配給 シンカ
配給 ブロードメディア・スタジオ
監督 パブロ・トラペロ Pablo Trapero
製作 ペドロ・アルモドバル Pedro Almodovar
製作 パブロ・トラペロ Pablo Trapero
製作 アグスティン・アルモドバル Agustin Almodoval
脚本 パブロ・トラペロ Pablo Trapero
脚本 ジュリアン・ロヨラ Julian Loyola
撮影 フリアン・アペステリア Julian Apezteguia
衣装デザイン フリオ・スアレス Julio Suarez
編集 アレハンドロ・カリーリョ・ペノヴィ Alejandro Carrillo Penovi
音楽 セバスチャン・エスコフェット Sebastian Escofett
出演 ギレルモ・フランセーヤ Guillermo Francella
出演 ピーター・ランザーニ Peter Lanzani
出演 リリー・ポポヴィッチ Lili Popovich