
公開日 劇場未公開 124分
ブラジルから来た少年
予備知識なしでの鑑賞。
オープニング字幕で原作はアイラ・レヴィンと。
聞き覚えのある名前だったが思い出せない。
後で調べてみると『ローズマリーの赤ちゃん』や『ステップフォードの妻たち』の作者だった。
どちらも恐るべき展開のサスペンス・スリラーだ。
タイトルからは窺えないが、本作も突拍子もないほど劇的な物語である。
ナチスの残党による暗殺計画をナチス・ハンターが盗聴する。
その計画とは世界各国の65歳の普通の公務員を94人も暗殺しようとするものであった。
この目的不明で荒唐無稽に見える大量殺人計画と、その完遂に執念を燃やすナチスの残党であるグレゴリー・ペックが、物語をぐいぐいと引っ張っていく。
暗殺計画の目的が見え始めるまでの、「誰もが暗殺のターゲットになりうる恐怖」の演出は、サスペンスとして一級品だと思う。
ただ上映時間の制約からか、暗殺の場面は僅かしか描かれず、
また、ナチス残党内部から計画の邪魔が入るなどして、計画は次第に混沌とし始める。
暗殺の目的が透け始める、この辺りから面白さが薄れ始めるのだ。
謎を追うナチスハンターにローレンス・オリヴィエ。
『マラソンマン』でダスティン・ホフマンを拷問する元ナチスの歯医者とは真逆の役柄だ。
台詞回しなどから緩んだ感じが窺え、観客を煙に巻くが、その容姿の鋭さとはアンバランスに感じる。
ラストは2大俳優の激突となるが、これがかなりのぐだぐだな場面だ。
このシーンがよければ、名作になったであろうに。
ローレンス・オリヴィエは至近距離から2回撃たれるのだが不死身だ。
グレゴリー・ペックの目前に迫るドーベルマンからは襲う気配がまったく窺えない。
そもそもクローン人間を、オリジナルと似た境遇で育てることで、オリジナルが再生できるという考えには無理がある。
環境要素である時代背景も、関わる人間も、大きく異なるのだから。
その信憑性にグレゴリー・ペック演じる狂気的な医者(博士)が大きく寄与する。
残党の組織自体も危ぶむ計画なのだが、再生できる云々ではなく、再生させるのだという盲目的な自信と意思の塊を、名優ならではの存在感で見せるのは流石。
原題 THE BOYS FROM BRAZIL
製作国 アメリカ
製作 Sir Lew Grade
製作 Producers Circle
製作 ITC Films
配給 東北新社
監督 フランクリン・J・シャフナー Franklin J. Schaffne
製作 スタンリー・オトゥール Stanley O'Toole
製作 マーティン・リチャーズ Martin Richards
製作総指揮 ロバート・フライアー Robert Fryer
原作 アイラ・レヴィン Ira Levin
脚本 ヘイウッド・グールド Heywood Gould
撮影 アンリ・ドカエ Henri Decae
編集 ロバート・スウィンク Robert Swink
音楽 ジェリー・ゴールドスミス Jerry Goldsmith
出演 グレゴリー・ペック Gregory Peck
出演 ローレンス・オリヴィエ Laurence Olivier
出演 ジェームズ・メイソン James Mason
出演 リリー・パルマー Lilli Palmer
出演 ユタ・ヘーゲン Uta Hagen
出演 スティーヴ・グッテンバーグ Steve Guttenberg
出演 デンホルム・エリオット Denholm Elliott
出演 ローズマリー・ハリス Rosemary Harris
出演 ジョン・デナー John Dehner
出演 ブルーノ・ガンツ Bruno Ganz
出演 アン・メアラ Anne Meara
出演 ブルーノ・ガンツ Bruno Ganz