
公開日 劇場未公開 121分
海外ではそれなりの評価を得ており、日本での公開日も決まっていながら、公開中止・DVDスルーされた作品。
その理由も、何の予備知識もなく鑑賞することにした。
物語は死生観を伴った何かを意味していること、またこの家がこの世のものでないことなどは解るものの、 それぞれの現象が起こる理由や何を暗喩の対象も掴めなかった。
悩みながらネットに助けてもらうことになった。
諸説あるものの、以下が最も腑に落ちる解説だ。
テーマはキリスト教。
主人公は聖なる母(マリア)であり、命を育むガイア。
夫は神。
彼が紡ぐ詩は聖書。
最初の訪問客夫婦はアダムとイヴ。
次に訪れる息子はカインとアベル。
そして人類初の殺人を犯すことになる。
主人公から生まれる赤子はキリスト。民衆に血と肉を捧げることになる。
物語が展開する家は地上に当たるのだろう。
神を頼って集まる人間達の横暴さは人間の業であり、物語は乱痴気騒ぎから戦場に至るほどにカオス度を増していく。
夫と赤ん坊にのみ愛情を注ぐ主人公は、 家を崩壊され、赤子を惨殺された主人公はキレる。
家を爆破する主人公の怒りは「キレる」という表現のままに見える。
冒頭から主人公の不快度を助長していく客人の傍若無人ぶり。
家の中で煙草を吸ったり、キッチンに生ゴミを残したままにするなど、いわゆる癇に障る表現は今の感覚に則っている。
ただ、これらのイライラ・コントの積み重ねは、観客を第三者として笑いを生む表現ではなく、 主人公に感情移入させる表現が取られているので、観ている側も不満を蓄積していくことになる。
この物語は何を描いているのだろう。
人間の業の深さは描かれているものの、ここに尺は割かれていない。
夫と赤子と家を愛する主人公の苦悩と、赦すことしかしない神の不条理さだろうか。
神は赦すのみで愛は持っていないのか。
家の外に出ると人が突然消えるのは何の表現か等、消化できなていない点も多い。
キリスト教に基づく物語を、今の感覚に頼ってブラックに描いた作品なのだろうが、 そこに深い洞察は見て取れない。
コミカルに風刺された『神様メール』は面白かったが、 宗教を気持ち悪いものとする視点とそれを描く表現には賛同し難い。。
原題 MOTHER!
製作国 アメリカ
製作 Paramount Pictures
製作 Protozoa Pictures
配給 東和
監督 ダーレン・アロノフスキー Darren Aronofsky
製作 スコット・フランクリン Scott Franklin
製作 アリ・ハンデル Ari Handel
製作 ダーレン・アロノフスキー Darren Aronofsky
製作総指揮 マーク・ヘイマン Mark Heyman
製作総指揮 ジェフ・G・ワックスマン Jeff G. Waxman
脚本 ダーレン・アロノフスキー Darren Aronofsky
撮影 マシュー・リバティーク Matthew Libatique
プロダクションデザイン フィリップ・メッシーナ Philip Messina
衣装デザイン ダニー・グリッカー Danny Glicker
編集 アンドリュー・ワイスブラム Andrew Weisblum
出演 ジェニファー・ローレンス Jennifer Lawrence
出演 ハビエル・バルデム Javier Bardem
出演 エド・ハリス Ed Harris
出演 ミシェル・ファイファー Michelle Pfeiffer
出演 ドーナル・グリーソン Domhnall Gleeson
出演 ブライアン・グリーソン Brian Gleeson