
公開日 2017/03/25 85分
そんなに熱く語られても、サラエヴォの歴史をよく知らない。 ただ、つい最近まで悲劇の歴史は続いており、それはこれからの未来にもくすぶり続けていることは解る。
気になったのは、この国での銃の取り扱いだ。 ホルダーにも入れずに大っぴらに持ち歩けるということは、銃規制はないのか? それとも、戦闘の常態化で、銃に慣れているだけなのか? 女記者が平然と「(私を)撃てば?」と言うことから、命の軽さや銃に対する感覚の麻痺が窺える。
警官が警備中にネットを見たりドラッグをするなどの腐敗ぶりを見せ、警告も威嚇もなく射殺する異常さだ。
その警備対象の来賓は冗長なスピーチの練習を延々と繰り返す。
このスピーチ練習のシークエンスは、この人物の矮小さを表現するもののように思えるが、 そのためにこれだけの尺を使うのは上手い表現とは思えない。
ホテルのフロアや廊下、部屋を隔てると、劇的に変わる様相は印象的だし、そこで働く人の姿は元より、話し方考え方も異なるのも面白い。
その一方で、フロントを務める主人公を始め、登場人物をカメラが追うシーンがやたらと多く、カメラという媒体を意識してしまうことが、作り物という印象を与えてしまった。
僅か数時間の間にリアルタイムで目まぐるしく変わっていく展開は練られていると思う。
この国のあらゆる異常をホテルに凝縮させて告発するような作品だ。
原題 SMRT U SARAJEVU
製作国 フランス
製作国 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
製作 Margo Cinema
製作 SCCA / pro.ba
配給 ビターズ・エンド
監督 ダニス・タノヴィッチ Danis Tanovic
製作 フランソワ・マルゴラン Francois Margolin
製作 アムラ・バクシッチ・チャモ Amra Baksic Camo
原作戯曲 ベルナール=アンリ・レヴィ Bernard-Henri Levy
脚本 ダニス・タノヴィッチ Danis Tanovic
撮影 エロル・ズブツェヴィッチ Erol Zubcevic
音楽 ミルザ・タヒロヴィッチ Mirza Tahirovic
出演 ジャック・ウェベール Jacques Weber
出演 スネジャナ・ヴィドヴィッチ Snezana Vidovic
出演 イズディン・バイロヴィッチ Izudin Bajrovic
出演 ヴェドラナ・セクサン Vedrana Seksan
出演 ムハメド・ハジョヴィッチ Muhamed Hadzovic