
公開日 2017/05/12 117分
一時は"終わった人"扱いされていたシャマラン監督であるが、 前作『ヴィジット』あたりから復調してきている。
本作は前作以上に「非日常」を描くエッジが効いているし、 先の読めない面白さも増している。
前作以上に「異常」とも言えるが。
シャマランの映像(カメラ)のセンスが 抜きん出ているのは改めて特筆する必要もない。
更に今回は、ただの異常者による巻き込まれ型犯罪劇ではない。
ラストに向かって次第に明かされる悲劇の交錯が、作品に深い陰影を与えている。
血肉が飛び散るスプラッターをよしとしない作風 (冒頭の父親は殺されていない、シルエットと音だけで人肉を食うビーストを表現) とも合わさって、 誰も裁かれず、終結することもない悲劇の余韻が残る。
主人公の少女の眼差しは、新たな人格の創出の表現なのだろうか。
悲劇の物語に重心が置かれるため、異常者による監禁からの巧みな脱出劇を予想して観ると 期待外れになる恐れがある。
『アンブレイカブル』とも重なるラストであり、 個人的に『アンブレイカブル』は嫌いではないが、 敢えてそこまで重ねる必要はなかったのではないか、と思う。
この2作を交えた新作なんて、別に観たいと思わない。
多重人格者を演じるジェームズ・マカヴォイの演技は勿論、 アニャ・テイラー=ジョイの大きな瞳による演技もよかった。
物語に解説と混乱を与えるベティ・バックリーもよかった。
個人的には、ようやく期待に適ったシャマランの新作であった。
鑑賞後にインターネットを見たが、Wikipedia等で情報収集しないで良かった。
いきなりネタバレされているではないか。
やはり、シャマラン作品は事前の情報収集はしない方がいいのだった。
原題 SPLIT
製作国 アメリカ
製作 Universal Pictures
製作 Blinding Edge Pictures
製作 Blumhouse Productions
配給 東宝東和
監督 M・ナイト・シャマラン M Night Shyamalan
製作 M・ナイト・シャマラン M. Night Shyamalan
製作 ジェイソン・ブラム Jason Blum
製作 マーク・ビエンストック Marc Bienstock
製作総指揮 スティーヴン・シュナイダー Steven Schneider
製作総指揮 アシュウィン・ラジャン Ashwin Rajan
製作総指揮 ケヴィン・フレイクス Kevin Frakes
脚本 M・ナイト・シャマラン M.Night.Shyamalan
撮影 マイケル・ジオラキス Michael Gioulakis
編集 ルーク・チャロッキ Luke Ciarrocchi
音楽 ウェスト・ディラン・ソードソン West Dylan Thordson
出演 ジェームズ・マカヴォイ James McAvoy
出演 アニャ・テイラー=ジョイ Anya Taylor-Joy
出演 ベティ・バックリー Betty Buckley
出演 ジェシカ・スーラ Jessica Sula
出演 ヘイリー・ルー・リチャードソン Haley Lu Richardson
出演 ブラッド・ウィリアム・ヘンケ Brad William Henke