
公開日 2016/09/22 122分
初老の天文学者と若い教え子の恋物語。
天文学者の突然の訃報を受け悲嘆に暮れる教え子の元に、次々とビデオレターが届く。
勿論、それは死を覚悟した天文学者が生前に準備したものであったのだが。
何ヶ月も前に撮られた過去が現在のように語られる。
そこに見える現在は既に過去である悲哀はデンゼル・ワシントンの『デ・ジャヴ』を思い出した。
ただ本作のベースはSFチックな話ではなく、天文学をベースにされている。
恒星の光には数十年、数万年も前に発せられたものもある。
主人公の教え子の見る映像は恒星の光なのだ。
この映画ならでは表現方法は、映像を熟知したベテラン監督ならではと感じる。
名匠といえるジュゼッペ・トルナトーレも62歳。
前作の『鑑定士と顔のない依頼人』と同様に、死に近づきつつある老いの苦しみが作品全体に暗い影を落としている。
本作では更にその色が鮮明だ。
なかなか解らないパスワードにイライラしたりするが、それが予想通りだったのには尚ビックリ。
いやいやそれなら、早く気づけよって感じ。
オルガ・キュリレンコは知性的な美人だけど、この役柄ほどに知性的に見えなかった。
副業にスタントというのは驚きの設定。これも映画っぽい。
ジェレミー・アイアンズも知的な二枚目だけど、前出演作の『リスボンに誘われて』の方が適役だったように思える。
"時間差"が大きなテーマだけに、生まれた時間差(年齢)を超えて真に愛する人に出会うことをテーマとしているのかもしれないが、私には生まれた時を運命と受け入れるのも大事に思う。
老いらくの必死の恋で自分が死んだ後も若い恋人に繋がろうとする価値観は自分にはない。
死んだところでスッパリ連絡を絶てば、彼女は逆に想い続けてしまうのだろうか。
その辺りが本作の評価に繋がらないところだ。
まあ、泣いたけど。
原題 LA CORRISPONDENZA
製作国 イタリア
製作 Paco Cinematografica
製作 Rai Cinema
配給 ギャガ
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore
製作 イザベラ・コクッツァ Isabella Cocuzza
製作 アルトゥーロ・パーリャ Arturo Paglia
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore
撮影 ウィリアム・A・フレイカー William A. Fraker
撮影 ファビオ・ザマリオン Fabio Zamarion
プロダクションデザイン マウリツィオ・サバティーニ Maurizio Sabatini
衣装デザイン ジェンマ・マスカーニ Gemma Mascagni
編集 マッシモ・クアッリア Massimo Quaglia
音楽 エンニオ・モリコーネ Ennio Morricone
出演 ジェレミー・アイアンズ Jeremy Irons
出演 オルガ・キュリレンコ Olga Kurylenko
出演 ショーナ・マクドナルド Shauna Macdonald
出演 パオロ・カラブレージ Paolo Calabresi
出演 アンナ・サヴァ Anna Savva
出演 イリーナ・カラ Irina Kara