
公開日 2015/11/14 140分
冒頭から素晴らしい。
男(主人公)が愚痴ているかの様子。
誰に話しているのかは分からない。時々部屋の襖が映ったり。襖の向こうは何なのだ。
話の内容は煙草を止めようと思ったとかなんとか。どうでもいい話。
でも物語が進むにつれて会話の意味が解ってくる構成だ。
話している相手は弁護士。襖の向こうには祭壇がある。
そして話の内容は、日常の些細なことこそ何にも換え難いと言っている。
この、通り魔に妻を殺された男を主軸にしながら3つの物語が並行に描かれる。
夫と疎遠になりつつ姑ともうまくいかない中年主婦。
その前に現れた素性の怪しい男に惹かれていく物語。
密かに親友に恋心を持つゲイの弁護士。
親友の妻からその息子への関心を疑われていく物語。
『恋人たち』というタイトルから想像される若い恋の物語ではない。
だがどれも、ひたむきであったり、刹那的であったり。
3つのストーリーに直接の繋がりはないもののあちこちで繋がっていたり、対比を見せたりしている。
主婦の弁当屋の弁当を主人公の仲間が買ってきたり。
その仲間は元左翼で皇居に撃ち込むロケット弾を失敗して片腕を失っているが、主婦は大の皇室マニアであったり。
美女水も鶏肉屋も弁護士を紹介する先輩もいかにも怪しい。ベタだしステレオ的にも見える。
なのにそこに嵌まる、嵌まらざるをえない状況も日常の中に潜んでいるのだ。
主人公の義妹なども巻き込んで居場所を無くした人たちの苦悩は凄まじい。
しかし、そんな彼らの心を紛らしていくのも今の居場所にいる人々だったりする。
「殺しちゃダメだよ。殺したらこうして話ができなくなる。ぼくはあなたともっと話したいよ」
「決心は折れることもあります」
飴玉をくれる。その母親が気にしてくれている。よくわからない、どうでもいい話。
3つのストーリーに解決は与えられないし、解決するようなものではないが、
僅かな希望を感じさせるラストはベタな表現であるが印象的。
主人公を載せて進むボート。
ボートから見上げた青い空。
黄色いチューリップ。
花言葉は「実らぬ恋・望みのない恋」だそうだ。
製作国 日本
製作 松竹ブロードキャスティング
配給 松竹ブロードキャスティング
配給 アーク・フィルムズ ARC FILMS.
監督 橋口亮輔 Hashiguchi Ryousuke
企画 深田誠剛 Fukada Seigou
製作 井田寛 Ida Hiroshi
製作 上野廣幸 Ueno Hiroyuki
製作 小野仁史 Ono Hitoshi
製作 平田陽亮 Hirata Yousuke
脚本 橋口亮輔 Hashiguchi Ryosuke
撮影 上野彰吾 Ueno Syogo
美術 安宅紀史 Ataka Norifumi
衣装デザイン 小里幸子 Kosato Yoshiko
音楽 Akeboshi Akeboshi
主題歌 Akeboshi Akeboshi
出演 篠原篤 Shinohara Atsushi
出演 成嶋瞳子 Narushima Touko
出演 池田良 Ikeda Ryo
出演 安藤玉恵 Ando Tamae
出演 黒田大輔 Kuroda Daisuke
出演 山中崇 Yamanaka Takashi
出演 内田慈 Uchida Chika
出演 山中聡 Yamanaka Sou
出演 リリー・フランキー Lily Franky
出演 木野花 Kino Hana
出演 光石研 Mitsuishi Ken