不思議惑星 キン・ザ・ザ

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公開日 1989/06/24  134分


★★★★★★ 6.0


この旧ソ連製SF映画はカルト的に語られることも多いが、異端なセンスで作られたものが偶々ヒットしたという類のものではない。
そのユルさは確信犯である。
全体を見ればその製作の苦労と作品に掛ける執念が窺える。

キン・ザ・ザ星雲では、
「キュー」=公言可能な罵倒語
「クー」=それ以外のすべての意味
動作も交えてそう説明されれば、そのように見えてくる。
敬礼などと同じ類だ。
皆が共通の意識(価値観)を持てば意味のない動作も意味をなす。
また、ズボンの色が階級を表すのだが取引可能っていうのが、当時の混乱を象徴している。
社会風刺とも取れるし、ソ連にしてみれば体制批判かも。

星を隔てればまたイデオロギーも変わる。
ヒエラルキーに対するアイロニーも。

マッチは超貴重品。
当時のありふれた日常品の典型だったんだろう。
今は違うけど。
もの凄く弾けた設定ではなく、コースターで前の台車にぶつかるような普通のコントも散りばめられている。

砂漠にたなびく巨大な絨毯。旗?
スケールが意外にもデカいのに驚く。
宇宙船を含め、造形は印象深い。

イデオロギーの異なるディストピアであっても、人間らしさこそ大切。
人間らしい感情を交わした記憶も経験も。

昨今珍しいユルいSFで面白いが、134分はさすがに長く途中でだれる。
だがこれにハマる人はいるだろうな、とは思う。
私はハマらなかったけど。

ある劇場では窓口で「クー」をしたら割引になるキャンペーンを実施したそうだ。
おバカの体現でもあり、このバカバカしい価値観を自分は受け入れられるのか?という試練でもありの…英断だ。

原題  KIN-DZA-DZA

製作国 ソ連
製作国 ジョージア
製作 Mosfilm
配給 Pandora Films Pandora Films

監督 ゲオルギー・ダネリア Georgi Daneliya
脚本 レヴァス・ガブリアゼ Revaz Gabriadze
脚本 ゲオルギー・ダネリア Georgi Daneliya
撮影 パーヴェル・レーベシェフ Pavel Lebeshev
美術 アレクサンドル・サムレキン Alexandr Samulekin
美術 テオドル・テジク Teodor Tezhik
音楽 ギア・カンチュリ Giya Kancheli

出演 スタニスラフ・リュブシン Stanislav Lyubshin
出演 ユーリー・ヤコヴレフ Yuri Yakovlev
出演 エヴゲーニー・レオノフ Yevgeni Leonov
出演 レヴァン・ガブリアゼ Levan Gabriadze