
公開日 2015/05/15 102分
思いもよらぬ展開と驚愕のラスト。
そんなコピーが透けて見えるようなサスペンス作で、 そこにリアリティさを与えようと製作側の必死の努力も見て取れる。
だがやはり、この物語の設定自体にかなりの難がある。
その骨子は、ネタバレになってしまうが、赤ん坊のすり替えだ。
この主人公がそれを発想することが、 意外性を狙ったといえ、無理がある。
赤ん坊が亡くした妻がパニック状態とはいえ、 それに並行してDV・ネグレクトで悲惨な目にあっている赤ん坊がいるとはいえ、 「新しい赤ん坊だ」という発想は起こらないだろう。
またそこから派生する様々な不幸や難題も予想できるだろう。
男だからではない。この発想の根源を「男だから」に求めたのなら逆差別だろう。
これが、そんなことを考えもしない"超"短絡的な主人公ならともかく、 警察官の主人公では、ちょっとありえない。
赤ん坊は親が育てているものの、その一方で既に社会の一員でもある。
生まれた時に社会に届けたように、 亡くなった時にも届けることが義務であることは、 重々理解している筈の主人公なのだが。
一方、すり替えられた夫婦は、ジャンキーの夫によって、 何をしてもあり得る(やりかねない)と解釈はできる。
なので、物語全体が重苦しいのだが、 デンマークという寒い舞台と、全体を覆う重く暗い雰囲気は堪能できた。
予備知識は全くなかったのだが、 いつ何が起こるかわからない張り詰めた雰囲気は楽しめた。
例えば冒頭、主人公が車に赤ん坊を載せて走るシーン。
いつ事故に巻き込まれてもおかしくないような緊張感は十分に感じられた。
あの寒さと暗さの中、あの高い橋からの飛び降りの見せ方。
表現力のある監督だと思うので、今後の更なる期待はできる。
原題 EN CHANCE TIL
製作国 デンマーク
製作 Zentropa Entertainments
製作 Danmarks Radio (DR)
製作 Det Danske Filminstitut
配給 ロングライド
監督 スサンネ・ビア Susanne Bier
製作 シシ・グラウム・ヨアンセン Sisse Graum Jorgensen
製作総指揮 アナス・トマス・イェンセン Anders Thomas Jensen
製作総指揮 スサンネ・ビア Susanne Bier
原案 アナス・トマス・イェンセン Anders Thomas Jensen
原案 スサンネ・ビア Susanne Bier
脚本 アナス・トマス・イェンセン Anders Thomas Jensen
撮影 ミケール・スニーマン Michael Snyman
編集 ペニッル・ベック・クリステンセン Pernille Bech Christensen
音楽 ヨハン・セーデルクヴィスト Johan Soderqvist
出演 ニコライ・コスター=ワルドー Nikolaj Coster-Waldau
出演 ウルリク・トムセン Ulrich Thomsen
出演 マリア・ボネヴィー Maria Bonnevie
出演 ニコライ・リー・コス Nikolaj Lie Kaas
出演 リッケ・マイ・アナスン Lykke May Andersen