
公開日 2017/12/08 114分
原作も読んだし、シドニー・ルメット版も観ているので、”いかに観せるか”に興味は向く。
いや、原作自体が好きなので、イマイチなルメット版と同水準でも楽しめるのかなと。
ケネス・ブラナー版は舞台劇の雰囲気増量。
トンネルの中で、最後の審判ばりに1列に並んだ乗客の前で謎を解くラストは、まさにステージだ。
2時間以内の枠で、豪華なキャストのそれぞれ花を持たせる演出は、やはり無理があって、物語はかなり端折りがち。
駆け足というよりも端折られている。
ポアロの推理は、推理というよりも、知識(記憶)を紡ぐという印象で目まぐるしく解かれていく。
原作を既に知っている観客が多いことを前提で作られているのだろうが、”ここはじっくりと見せて欲しい”というところも怒涛の如く進んでいく。
被害者のジョニー・デップでさえ、悪役を十分に演じ切れていない感がある。
乗客の個々の恨みは描かれるが、共犯である筈の横の繋がりの描写が薄い。
アリバイを補完しあう乗客間の疎通が描かれてこそ、豪華キャストも映えるのだが、名優同士の丁々発止の遣り取りも薄かったのは残念。
謎が解き明かされていく中、何故、余命少ない乗客が「私が犯人だ」と名乗らないのかも、ツボを外している。ケネス・ブラナー演じるポアロは露出がキツ過ぎてちょっとウルさい。
オリエント急行という異国の地の旅の”情緒”も見せて欲しかった。
殺人のシーンのモノクロ転換は、市川崑の金田一シリーズを彷彿させた。
物語自体、金田一シリーズに通じる悲哀に満ちたものではあるのだが、苦悩の果てに結末に至る悲哀も薄い。
技術の進歩によって復活したオリエント急行の映像は素晴らしいだけに惜しいと思う。
それもこれも、上映時間の短さが要因か。
原題 MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
製作国 アメリカ
製作 20世紀フォックス映画
製作 Genre Films
製作 Kinberg Genre
製作 Mark Gordon Company
製作 Scott Free Productions
製作 Latina Pictures
製作 The Estate of Agatha Christie
配給 20世紀フォックス映画
監督 ケネス・ブラナー Kenneth Branagh
製作 リドリー・スコット Ridley Scot
製作 マーク・ゴードン Mark Gordon
製作 サイモン・キンバーグ Simon Kinberg
製作 ケネス・ブラナー Kenneth Branagh
製作 ジュディ・ホフランド Judy Hofflund
製作 マイケル・シェイファー Michael Schaefer
原作 アガサ・クリスティ Agatha Christie
脚本 マイケル・グリーン Michael Green
撮影 ハリス・ザンバーラウコス Haris Zambarloukos
プロダクションデザイン ジム・クレイ Jim Clay
衣装デザイン アレクサンドラ・バーン Alexandra Byrne
編集 ミック・オーズリー Mick Audsley
音楽 パトリック・ドイル Patrick Doyle
出演 ケネス・ブラナー Kenneth Branagh
出演 ペネロペ・クルス Penelope Cruz
出演 ウィレム・デフォー Willem Dafoe
出演 ジュディ・デンチ Judi Dench
出演 ジョニー・デップ Johnny Depp
出演 オリヴィア・コールマン Olivia Colman
出演 ミシェル・ファイファー Michelle Pfeiffer
出演 デイジー・リドリー Daisy Ridley
出演 ジョシュ・ギャッド Josh Gad
出演 デレク・ジャコビ Derek Jacobi
出演 ルーシー・ボーイントン Lucy Boynton
出演 マヌエル・ガルシア=ルルフォ Manuel Garcia-Rulfo