エル ELLE

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公開日 2017/08/25  131分


★★★★★★ 6.0


ポール・ヴァーホーヴェンならではのエロチック・サスペンス。
「ハリウッドにはこの役を演じられる女優がいなかった」と恨み節なんだか、どうだか分らないようなコメントをしているが、確かに、ハリウッドでそこそこのポジションの女優が受ける役とは思えない。

何と言っても主演に負うところが絶大な作品である。
作品の出来が素晴らしくなれば、この役のイメージが固定されるリスクが伴う。
出来がよくなければ、出演する価値がない、という難しい出演作ではあると思う。

そのイザベル・ユペールは、もう十年若ければ、と思うことしばしばに、所どころでキツイ。
ただ、美人は間違いないし、知的だし、許せる。

主人公の背負っている悲惨な過去が背景にあるのだが、その影響がいびつに描かれていて掴み辛い。
その曖昧な線引き、濃淡はヨーロッパ的でいいと思うが、なかなか主人公の心理が読み辛くはある。
自分にも他人にも、暴力に対する耐性が凄まじいのは、ここが原点であるのは間違いない。
すべてを自己解決しようとする心理もそうなのだろう。

暴漢の現れるサスペンス描写、レイプシーンの暴力描写などが際立って描かれるので、ここを受け入れられるかどうかで評価が分かれると思う。
特に男女間で評価が分かれるのではないだろうか。

一方、犯人についてはかなり画一的で、趣味が悪いのもいただけない。

PC画面などで度々表現されるアニメなどが、この作品自体のイメージを貶めている気がする。
低俗な表現を敢えて取っているのだろうが、個人的にはもっと情緒的で煽情的な表現ができなかったものかと思う。

他の女優だとまったく異なる作品になったであろうイザベル・ユペール色が滲んだ作品。
性的な表現や暴力的な表現にどんどん不寛容になりつつある時代にあって、A級映画では、ここがまでが限界、精一杯のサスペンス作品と思われる。

原題  ELLE

製作国 フランス
製作国 ドイツ
製作国 ベルギー
製作 SBS Productions
製作 Twenty Twenty Vision Filmproduktion GmbH
製作 France 2 Cinema
製作 Entre Chien et Loup
配給 ギャガ GAGA Corporation

監督 ポール・ヴァーホーヴェン Paul Verhoeven
製作 サイド・ベン・サイド Sad Ben Sad
製作 ミヒェル・メルクト Michel Merkt
原作 フィリップ・ディジャン Philippe Djian
脚本 デヴィッド・バーク David Birke
撮影 ステファーヌ・フォンテーヌ Stephane Fontaine
美術 ロラン・オット Laurent Ott
衣装デザイン ナタリー・ラウール Nathalie Raoul
編集 ヨープ・テル・ブルフ Job ter Burg
音楽 アン・ダッドリー Anne Dudley

出演 イザベル・ユペール Isabelle Huppert
出演 ロラン・ラフィット Laurent Lafitte
出演 アンヌ・コンシニ Anne Consigny
出演 シャルル・ベルリング Charles Berling