キャリー

店舗イメージ

公開日 1977/03/05  98分


★★★★★★ 6.0


ホラーであり、オカルトであり、青春映画でもある。でも敢えてジャンル分けするならホラーなんだろうな。
クロエ・グレース・モリッツ主演でリメイクされたが、つまりは今でも通用する要素に満ちているということなのだろう。

サイキック・シーン"ありき"の作品であるため、当時の映像には古さを感じざるを得ないが、それでも意外と古い印象は受けなかった。

骨子は比較的単純で、家庭でも宗教的に抑圧され、学校でもイジメを受け続けた少女が、イケメン男子に誘われたプロムでの夢見心地から地獄のような虐待を受けるに至ってサイキックな怒りが爆発する。

ヒッチコックへのオマージュ(と言っておこう)がふんだんに盛り込まれた映像に加えて、デパルマらしい、回るカメラや画面スプリット、長回しもあって映像的にもかなり個性の強い作品となっている。ダンスでの回るカメラは長い長い。『ミッドナイト・クロス』を思い出した。ただ、鑑賞中に作り手を意識してしまうほど過剰な演出は如何なものかとも思う。凝り過ぎもまたよろしくはない。

イジメの中心はナンシー・アレンとトラボルタのカップルなのだが、エイミー・アービングとウィリアム・カットのカップルも好意的だが独善的だ。最後までキャリーを守ろうとした教師を始めとする善意もあるのに、そのすれ違いもまた悲劇を生んでしてしまう。
怒りの頂点に達したキャリーには憎しみ以外の何も見えない。
その悪意も善意も容赦ないキャリーの怒りが凄まじ過ぎる。

しかし悲劇はこれだけにとどまらない。家で待つ、ドアの影に潜む母親が怖い怖い。
この狂気に満ちた母親の下に生まれなければとと運命的なものを思う。

オープニングの出血シーンは今では無理的な反則技だし、ラストシーンは不要に思えるのだが、とにかく印象に残ってしまう。印象的なものが勝ちなら、これらのシーンはアリだ。

この後に有名になっていく若手俳優達は豪華。

原題  CARRIE

製作国 アメリカ
製作 Red Bank Films
製作 Paul Monash Production
配給 United Artists 

監督 ブライアン・デ・パルマ Brian De Palma
製作 ポール・モナシュ Paul Monash
原作 スティーヴン・キング Stephen King
脚本 カローレンス・D・コーエン CalLawrence D. Cohen
撮影 マリオ・トッシ Mario Tosi
美術 ジャック・フィスク Jack Fisk
音楽 ピノ・ドナッジオ Pino Donaggio

出演 シシー・スペイセク Sissy Spacek
出演 パイパー・ローリー Piper Laurie
出演 ウィリアム・カット William Katt
出演 ジョン・トラヴォルタ John Travolta
出演 エイミー・アーヴィング Amy Irving
出演 ナンシー・アレン Nancy Allen
出演 ベティ・バックリー Betty Buckley
出演 プリシラ・ポインター Priscilla Pointer