
公開日 2016/04/29 111分
富士の樹海を舞台とした物語。
私の中でも、富士の樹海=自殺の名所という図式はあり、映画の中でもネットで「the best place to die」と検索すると出てくることに違和感は、感じなかった。
ただ劇中の富士の樹海には違和感だらけ。
いやいや、そんな死体ゴロゴロしてる筈ないっすよ。
樹海を監視するレスキューもいないし、バギーで駆けつけたりしない。
樹海に向かうタクシーは何故あんなにも旧モデルなのだ。
まあ、その辺りは百歩譲ろう。
樹海を冥界との接点として、死んだ妻がおっさんの姿を借りて現れるのも、おっさんが天使の姿をした『ベルリン天使の詩』を彷彿させたが、悪くはない。
おっさんの正体を表すのが、おっさんの妻と娘の名前というのも美しい表現とは思う。
もっとも、最初に聞いた「キイロ」という妻の名前には「どんな字やねん。日本人か?」と思ったが。
「フユ」という娘の名前は許せる。
「ヘンゼルとグレーテル」なども効いてはいると思うが、その必然性は解らなかった。
ただ、これだけ多くの自殺者がいる中で、なぜ主人公にだけ現れるのか、その辺りが消化できていない。
回収できていないキーワードも多くある。
ただ、強烈に舌足らずではあるものの、作品が言わんとしていることは嫌いじゃない。
主演3人は安定の好演。
しかし、この映画をきっかけに海外自殺志願者が樹海に押し寄せないことを祈る。
いや、そんな奴いないか。
樹海が自殺の名所と呼ばれるようになったのは松本清張の『波の塔』(60)映画、ドラマ化以降のことらしい。
また方位磁石が利かないというのも噂に過ぎず、磁石はおろか、最近では携帯も繋がり易くなっているとのこと。
原題 THE SEA OF TREES
製作国 アメリカ
製作 Bloom
製作 Netter Productions
製作 Waypoint Entertainment
配給 東宝東和
配給 パルコ
配給 ハピネット
監督 ガス・ヴァン・サント Gus Van Sant
脚本 クリス・スパーリング Chris Sparling
撮影 キャスパー・トゥクセン Kasper Tuxen
プロダクションデザイン アレックス・ディジェルランド Alex DiGerlando
衣装デザイン ダニー・グリッカー Danny Glicker
編集 ピエトロ・スカリア Pietro Scalia
音楽 メイソン・ベイツ Mason Bates
出演 マシュー・マコノヒー Matthew McConaughey
出演 渡辺謙 Watanabe Ken
出演 ナオミ・ワッツ Naomi Watts
出演 ケイティ・アセルトン Katie Aselton
出演 ジョーダン・ガヴァリス Jordan Gavaris
出演 ジェームズ・サイトウ James Saito
出演 オーウェン・バーク Owen Burke