鷲は舞いおりた

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公開日 1977/08/13  123分


★★★★★★ 6.0


昔、TVだかビデオだかで観た覚えがある。細部の記憶はないものの、なかり面白かった印象がある。今回NHKでの放映があり、いまだに放映するってことは、実際それなりに面白いのだろうと思い再鑑賞。
監督はジョン・スタージェスだったんだと再確認。これが遺作なんだ。
キャストも豪華。

ドイツ軍が主役なのだが、この作品が作られた頃はもう単純に「ドイツ軍=悪→兵士も悪」というステレオ的な作品は減り始めていたんだろう。どの国であっても兵士は祖国のために懸命に戦っていたんだという視点が見える。
とはいえ、主役のマイケル・ケインをヒロイックに見せるために、収容所送りにされるユダヤ人を逃がすという場面も用意されている。このユダヤ人を列車に乗せて逃がすシーンの撮影は素晴らしい。

戦争映画ではあるが、本作は「戦闘映画」ではなく、「チャーチル誘拐」という途方もない作戦をスリリングに描いたサスペンス映画というべきだろう。
なので豪華キャストとはいえ、所謂「スペクタル巨編」ではない。

「チャーチル誘拐」という歴史上になかった事件ゆえに、結末は見えているのだが、いかに計画が破綻するのか、その見せ方は流石の上手さである。

さて、映画ではマイケル・ケインがドイツ兵の身分確保のためにドイツ軍の軍服の着用を申し出るのだが、小説においては、現場を知らないヒムラーが着用を指示するらしく、その異なる思惑が計画破綻の発端となるのが興味深い。
兵士の愛国心を描いた前者と、戦争の愚かさを描いた後者。
敢えて前者を創造した本作は、先述したドイツ兵≠悪を表情する意味でも悪くない発想だと思う。

ラストに描かれる空しさは、戦争の空しさに直結する。かたやこの作戦に賭けた男達の潔さは心に残る。
長い原作とは思うが、漁船の乗っ取りを1カットで説明(甲板に転がった死体たち)する手腕など、隙のない演出は名監督の手腕ならでは。
「これがヒトラー誘拐作戦でもよかった」と言うドナルド・サザーランドの道化的な役回りもいい。

ロバート・デュバル演じる隻眼、片腕の司令官は、『ワルキューレ』でトム・クルーズが演じた人物がモデルらしい。俳優が違うとこうも印象が違うのか。
原題通りのタイトルはドイツ軍パラシュート部隊を意味する。『史上最大の作戦』で描かれた連合軍の着地点の制御不能なパラシュート部隊とは異なり、本作の部隊は、パラシュートをコントロールする術を知っている。事実なのだろうか。

そして実は私はこの音楽が大変気に入っている。
このラロ・シフリンのスコアは私のツボで、頭に残る。
エンディングはジョン・スタージェスの名作『大脱走』を彷彿させる。勿論、及ばないとはいえ、名人が作るとこれだけコンパクトに(感じられるように)できる好編だ。

原題  THE EAGLE HAS LANDED

製作国 イギリス
製作国 アメリカ
製作 セラーズ=エドワーズ・プロ
製作 Associated General Films Associated General Films
製作 ITC Entertainment ITC Entertainment
製作 CIC   Cinema International Corporation
製作 コロムビア映画 Columbia Pictures

監督 ジョン・スタージェス  John Sturges
製作 ジャック・ウィナー Jack Wiener
製作 デヴィッド・ニーヴン・Jr David Niven,Jr.
原作 ジャック・ヒギンズ Jack Higgins
脚本 トム・マンキウィッツ Tom Mankiewicz
撮影 アンソニー・B・リッチモンド Anthony B. Richmond
美術 チャールズ・ビショップ Charles Bishop
プロダクションデザイン ピーター・マートン Peter Murton
衣装デザイン イヴォンヌ・ブレイク Yvonne Blake
編集 アン・V・コーツ Anne V. Coates
音楽 ラロ・シフリン Lalo Schifrin

出演 マイケル・ケイン Michael Caine
出演 ドナルド・サザーランド Donald Sutherland
出演 ロバート・デュバル Robert Duvall
出演 ジェニー・アガター Jenny Agutter
出演 ドナルド・プレザンス Donald Pleasence
出演 アンソニー・クエイル Anthony Quayle
出演 ジーン・マーシュ Jean Marsh
出演 トリート・ウィリアムズ Treat Williams
出演 ラリー・ハグマン Larry Hagman