
公開日 2013/01/19 105分
タイトルから、東ドイツから西へ亡命(脱国)した女の物語だと思っていた。
そうではなく、ベルリンの壁崩壊の数年前の東ドイツ国内の物語だ。
有能でありながら、地方に飛ばされた女医が主人公。左遷の原因は、"東"独特の疑いであるのは次第に見えてくる。
再三に渡る当局の取り調べにも関わらず、捕まっていないのは、あくまで容疑者の段階なのだろう。
プライバシーのないスパイ国家はお決まりのように描かれる。
その女医をサポートするのが、また有能でありながら医療ミスによってこの病院に追いやられた若い医師。
ちょっとラッセル・クロウに似ている。
暴力やレイプが日常的な作業所と呼ばれる児童の強制労働施設から脱走を企てた少女など、東の悲惨さの一方で、女医を亡命させようとする西の恋人の傲慢さがさり気なく描かれているあたりは好感が持てる。
そして何よりもこの作品を際立たせているのがラスト。なるほど、だからこのキャスティングなのだ。
主人公のギャップを狙ったラストは見事に印象に残る。
主人公の意志と優しさに心打たれてしまった。
海辺の描き方もよかった。
やっぱりラストは大事だな。
小品ながら、予想外に良かった。
原題 BARBARA
製作国 ドイツ
製作 Schramm Film Koerner & Weber
配給 アルバトロス・フィルム ALBATROS Co.,Ltd.
監督 クリスティアン・ペッツォルト Christian Petzold
製作 フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ Florian Koerner von Gustorf
製作 ミヒャエル・ヴェバー Michael Weber
脚本 クリスティアン・ペッツォルト Christian Petzold
撮影 ハンス・フロム Hans Fromm
編集 ベッティナ・ボーラー Bettina Bhler
音楽 シュテファン・ヴィル Stefan Will
出演 ニーナ・ホス Nina Hoss
出演 ロナルト・ツェアフェルト Ronald Zehrfeld
出演 ライナー・ボック Rainer Bock
出演 ヤスナ・フリッツィ・バウアー Jasna Fritzi Bauer
出演 マルク・ヴァシュケ Mark Waschke