
公開日 2015/2/21 132分
人間には3種類ある。
戦うことを知らない羊、奪いとることを糧とする狼、そして羊たちを守る番犬だ。
番犬を称え、番犬であれと教えた父親の下で育った主人公は、国を守る軍隊の意義と類い稀な射撃の才能に目覚めていく。
賛否両論に分かれること明白な題材を選ぶイーストウッドは、この作品でも描きたいものを描くという姿勢に貫かれている。
その甲斐あってか『今観るべき映画』として大ヒットとなっている。
例えば、9.11のニュース映像の直後にイラクでの戦闘に切り替わるシーンなど、あたかも9.11とイラクが関係しているかのように描かれているという指摘がある。
尤もといえば尤もだ。
だが9.11によって、何かしなければという激情に駆られたアメリカ国民は多い筈で、その果てがこの戦闘シーンなんですよと観ることができれば、逆の解釈をすることもできる。
Aシーン→Bシーンを描かれた時、画面の関連性を捉えるのではなく、Bに動いた心理を見ることも大事だと思う。
そこに違和感を感じるなら、その違和感こそが作り手の意図なのかもしれない。
かつてない戦績をあげた伝説的なスナイパーが主人公だが、スナイパーを汚いというのも、英雄視するのも、どうかと思う。
あくまでも戦争の一部なのだ。
勿論、戦死した兵士もPTSDに苦しむ兵士も。
これまでの作品を観ても、イーストウッドがアメリカを愛しているのは明白だ。
若い頃ははアメリカ万歳的な描写も見受けられたが、今は愛しているが故に「これでいいのか?」的な想いが見てとれる。
主演のブラッドリー・クーパーはその演技力からいえば、これくらいはやるだろうと思っていた。
シエナ・ミラーは平板な役回りがやや残念。
悟られないようにしているとはいえ、PTSDに苦しむ夫を見る妻の視点をもう少し描いて欲しかった。
原題 AMERICAN SNIPER
製作国 アメリカ
製作 Village Roadshow Pictures
製作 Mad Chance Productions
配給 ワーナー・ブラザース映画
監督 クリント・イーストウッド Clint Eastwood
製作 ロバート・ロレンツ Robert Lorenz
製作 アンドリュー・ラザー Andrew Lazar
製作 ブラッドリー・クーパー Bradley Cooper
製作 ピーター・モーガン Peter Morgan
製作 クリント・イーストウッド Clint Eastwood
製作総指揮 ティム・ムーア Tim Moore
製作総指揮 ジェイソン・ホール Jason Hall
製作総指揮 シェローム・キム Sheroum Kim
製作総指揮 ブルース・バーマン Bruce Berman
原作 クリス・カイル Chris Kyle
原作 スコット・マキューアン Scott McEwen
原作 ジム・デフェリス Jim DeFelice
脚本 ジェイソン・ホール Jason Hall
撮影 トム・スターン Tom Stern
プロダクションデザイン ジェームズ・J・ムラカミ James J. Murakami
プロダクションデザイン シャリーズ・カーデナス Charisse Cardenas
衣装デザイン デボラ・ホッパー Deborah Hopper
編集 ジョエル・コックス Joel Cox
編集 ゲイリー・ローチ Gary Roach
出演 ブラッドリー・クーパー Bradley Cooper
出演 シエナ・ミラー Sienna Miller
出演 ルーク・グライムス Luke Grimes
出演 ジェイク・マクドーマン Jake McDorman
出演 ケヴィン・レイス Kevin Lacz
出演 コリー・ハードリクト Cory Hardrict
出演 ナヴィド・ネガーバン Navid Negahban